lesson3 キスのタイミング

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何だ… カワイイとこあんじゃない。 「セイチョウしてるじゃないですか」 嬉しくなってポンポンと肩を叩くと、彼はほんのり頬を染めた。 「ウルセエよ生意気な… さ、着いた。そこだ」 彼が指差したのは、小さな日本料理屋さん。 引き戸を引いた彼に続き暖簾を潜ると、 「いらっしゃい」 威勢の良い声が出迎えてくれる。 中も小綺麗で価格設定も手頃、初めて彼女を連れていくデートの選択としては悪くはない。 初めて晩飯奢って貰った時の『ワタシはフードファイターか!』とツッコんだ、『やたら量が多い店』のチョイスを思えば及第点だ。 まあ、食ったけどね。     取り敢えずビールと料理を注文し、お店の人が行ってしまうと、小さな個室は深閑としてしまった。   基本的に彼は寡黙だ。 そうなると、案外お気遣いさんな私、沈黙が苦手でついついイロイロと話し掛けるのが常。 しかし今回は特別だった。 いつもと雰囲気が違う為か、なぜだかひどく畏まってしまった。 手持ち無沙汰に少し斜めの明り窓に目を遣る彼を、まじまじと見つめる…… 奥二重の目は均整がとれ、睫毛なんか私よりも長そうだ。 ビューラーはさぞ掴みやすかろう。 大儀そうにかき上げた髪が、ハラリと額に落ちると妙に色っぽくて、ついゾクッとしてしまう。  
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