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煙草が吸いたいのだろうか、さっきからしきりに胸ポケットを探っている。
ダメだぞ、ここは禁煙だからな。
心の中で諭していると、こちらの視線に気がついたのか。
ふと、彼と目があった。
「あ?…んだよ」
ギロリとこちらを睨み付ける。
だからぁ~、
そこでなぜメンチを切るかな?
「…あのさぁ、そこは普通、キュートな彼女(=私)に見つめられて、喜ぶべきところで…」
説教を始めかけた時、
「お待たせしました~!」
バイト君の元気の良い声とともにビールと付きだしが運ばれて来たので、私の話はそこで終わった。
「乾杯っ」
数10分後。
アルコールが入れば、私はたちまち上機嫌、お酒に弱いから直ぐに酔っぱらう。
一方の彼の飲みっぷり。
1課と2課合同のの飲み会で、だいぶ強い方だと記憶していたが、本当に強い。
調子に乗った私がかなり早いピッチで注いでも、顔色もテンションも全く変わらない。
お酒がある、料理は美味しい、ちょっと無愛想だが、話し相手も目の前にいる。
普段の、淋しい暮らしには無いゼイタクな時間…シアワセだ。
そうこうしているうちに、
ビールはやがて日本酒に変わっていき…
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