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lesson1. 歩く歩幅は
「あ~、来た来た~~。征子、こっちこっち!」
人混みの中、ユイ先輩が手招きしている。
今日ここいらでは、夜には花火も上がったりする、かなり大きな夏祭りがある。
お祭りデートなんである。
唯センパイは気合い入りまくりの浴衣姿。
対する私は去年までのデート服を、何とか流行遅れに見えないように誤魔化したスカート姿である。
「スイマッセ~ン、遅くなりましたぁ♥」
ちょっと準備に手間取っちゃって~、などと言いながら3人の待つ交差点の角へ近づいてゆく。
本当はテレビ番組の予約に手間取っただけなんだが…
これでも私、結構気を使うタイプなんだ。
「コンニチワ~~」
「やあ、君がユイの言ってた…噂には聞いてたけど、カワイイね。俺、村上颯人。ユイのカレシ」
「でしょ?征子は私の自慢の後輩だもの」
ユイ先輩のカレシさんは、どことなく先輩と雰囲気の似た、爽やかそうな人だった。
「おいっ、良かったな。ホラ、お前も挨拶しろよ」
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