告白

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告白

「あのな。パパ達は若い頃子供が欲しかったんだけど、なかなか授かる事が出来なかったんだ…… 」  その当時、誠一とあゆみは不妊治療をしていたが、3年続けても上手く行かなかった。  そのため2人は不妊治療を諦めて、養子を迎えようと施設へ見学に行ったとの事だった。 「そしたら、産まれたばかりの瞳が居たんだ。俺たちを見た途端、キラッキラに目を輝かせてさ。俺たちに小さな手を伸ばして来たんだ 」  その日、施設の前で拾われたばかりの赤ちゃんには、まだ名前がなかった。  だから“瞳”と名付けたのだという。 「その時思ったんだ。この子、俺たちの子なんだって。間違えて別な場所で生まれちゃったんだ、って」  瞳は涙が(こぼ)れてくるのを感じた。  でも、それはさっきとは違う、別の涙だ。  今度の涙はとても温かい。  胸に灯った明かりが、涙を温めている。 「瞳は、ちょっと迷子になってただけだよな?」  次から次から熱い涙が溢れて、大好きな誠一が歪んでしまって上手く見えない。  今こそ、誠一の顔が見たいのに。 「ちゃんと瞳が俺たちのところに来てくれたからこそ、その後は岬と翼を授かることが出来たんだ。瞳、パパとママのところに戻って来てくれて、ありがとう 」  瞳は首を左右に振った。  (一瞬でもパパの愛を疑っちゃってごめんなさい。  22年前、離れ離れになったあたしたちは、出会うべくして出会ってたんだ。  22年間、両親をほんの少しも疑う事なく今まで過ごして来た。  あたしの方こそ、変わらぬ愛を注いでくれてありがとう) 「だから、瞳は血の繋がりは無いけど、本当の子供だ。今までも。これからも 」 「そうだよ。姉ちゃん、ママの歩き方とそっくりじゃん。ママの子供に間違いないよ」  岬が当たり前の様にあっけらかんと言う。 「だよね。私達に怒る時の口調なんかパパそっくり。ソファでうたた寝してる時の格好だって完全にパパ似だよ」  翼なんて、言いながら思い出し笑いをしているくらい。  岬と翼の言葉に、パパはニヤリと笑う。  (ほら、やっぱりあたしのパパはカッコいい。  だって、あたしのピンチを助けてくれる)  もう嗚咽を抑える事が出来ない。  (パパ、ママ、今まで“本当の子供じゃない”なんて、疑う余地がないくらいに愛情を注いでくれてありがとう)  沢山伝えたい事が有るのに、嗚咽が邪魔して上手く話せない。  (あたしもパパとママ、岬も翼も心から愛してるよ)    感謝の気持ちを伝えたい。  だから今、あたしの方こそ、素直な気持ちで言いたいの。  瞳は小さく深呼吸した。  胸に溢れる想いを、今、紡ぎ出す。 「パパ。ありがとう。みんな大好きだよ」
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