昼飯

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「今はなんとか“強い”部類に入るかもしれませんが——まだまだあなたに勝てるレベルじゃありません」 「……それは買いかぶりすぎです」  山茶花は顔を伏せた。さっきは、たったの一枚差で勝っただけのことだ。 「宇狼に会ったら、ぜひ勝負してみてください。あの子にもいい勉強になるでしょう」  ——親もなく、独りで、一生懸命に“27”で命を繋いできた宇狼。  一体どんなゲームをするのだろうか。  宇狼の灰色の目が、ふと脳裏に浮かんだ。 「はい。いつか」  山茶花は笑顔で頷いた。  色んな人と『数国』を戦える。もう、ここはあの離宮ではないのだから。  その応えに、柊も嬉しそうに微笑む。そしてふうと呼吸を置いて、口を開いた。 「山茶花さん、あなたのことですが——口外しないと誓います」  柊の黒い目がまっすぐに山茶花を見た。  その佇まいはまるで大きな幹のようだと、山茶花は思った。  そこに存在するだけで、肩を寄せてしまいたくなる、安心感のあるもの。 「……いいんですか」 「もちろん。あなたのことを言いふらしても、僕に得はありませんからね。“27”をするまでもありません」  この人は、一度した約束を決して破らない。  柊の纏う空気は、不思議とそう確信させる何かがあった。
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