昼飯

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「ありがとうございます。ご飯、ごちそうさまでした」  山茶花は柊に向かって深く頭を下げた。 「お口にあったようで嬉しいです。またいつでも来てください」  柊が空の食器を片付けようとしたので、山茶花は慌ててそれを制した。 「お片づけくらいさせてください」 「働き者ですねえ。ではお言葉に甘えて」  柊がにこりと笑う。山茶花は食器を洗い場へと運んだ。  洗い場の隅に、店内に入りきらなかった薬草が値札と一緒に並べてあるのが目に入った。  食器を洗いながら、脳内で、自分が取ってきた薬草の数と値札を示し合せてみる。  確かに、薬草の二倍の額はあの札束とほぼ同額。しかしいくらかお釣りは出るので、それはきちんと柊に返さなくては。  その時、表で大きな声がした。 「……先生、……が捕まった……!」  山茶花はハッと顔をあげた。  水を流していた音で、言葉が途切れ途切れではあったが、確かに聞こえた。『捕まった』と。  山茶花は水を止めて、店台の方へと反射的に戻った。  そこには先ほど大きな声で柊を呼びに来た村人と、柊が顔を見合わせて立っている。 「なにかあったんですか」 「——宇狼が、役人に捕まったそうです」
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