勝負

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 山茶花は相手の『送り札』を受け取り、自分の札を相手に渡した。  その札は、やはり6だった。  山茶花は顔を伏せ、ひっそりと口角をあげた。  ——勝てるかもしれない。これなら。  山茶花は素早く手札を入れ替えて、立会人に終わったと目配せをする。  対して相手は、手札の順番に手間取っているようだ。山茶花の『送り札』が、効いているらしい。  群衆から、早くしろ、と野次が飛ぶ。先ほど手札を決めかねていた宇狼を罵ったことへの仕返しだろう。 「うるせえ、決まったぞ!」  役人が怒鳴り、立会人に合図をした。 「——では、開示します」  勝負がつく。  この一瞬で、人生の行先が、変わる。  立会人が卓の衝立を取った。 d5c9ed5f-57de-4e85-b6ff-3a82a4643af5
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