《松丸雄大視点》

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《松丸雄大視点》

 オレは、イラストや作品が投稿可能なサイトで、小説を投稿してやっている。  無料で読ませてやっているのだ。筆名は松丸(まつまる)雄大(ゆうだい)で本名だ。  ネットで知り合って、会ったことがないオンナの文章をテキトーに、パクることにした。文学賞を目指す連中へ、アドバイスしてやるだけだ。自室のパソコンを起動させて、席に着く。モニターには、小説投稿サイトの入力ページが表示された。キーボードでコピペした文章を手直しだ。  題名を決めてやる。 『短い期間で文学賞を取る方法を教えてやる』だな。ジャンルはエッセイ。エッセイの意味は、知らん。 ***(1ページ・本文) 「まず、公募している文学賞をインターネットで検索しろ! 文学賞の一覧がまとめてあるサイトを利用しろ。  自分が得意なジャンルで探せよ。  とりあえず、オレのやり方を教えてやる。ありがたく読め。  オレは、コメディ小説の短編が得意だ。コメディ小説を公募している出版社を探した。  見つけたのは、セレクション出版の公募だ。セレクション出版の作品応募ページでは、過去の受賞作品が紹介されている。テキトーにネット検索だ。  買いたいなら、本屋に行け。  オレは紙の本派だ。異論は認めない。本屋で、受賞作品の文庫本を立ち読みする。  過去の受賞作が収録された本を、9冊ぐらいざっと読んでやった。  読めば良いだよ。  オレは、起承転結のだな、転の部分から、ストンと結びに持って行く。つまり、オチが面白いのがオレの特徴だ。  過去に、オレの短所は冒頭の弱いとか、コメントしたヤツがいた。イラつく女だったぜ。  オレは文学賞の公募に小説作品を応募し続けた。オレの作品が選外だった度、受賞作品の題名と作者名を全てメモる。受賞作品の短所を探せ! オレの作品が認められなかったら、世の中が間違っているんだ」 *** 『今すぐ公開』だ。  ここまで、公開してやった。ブログサイトと、ほぼ一緒で簡単だ。約1千文字書いてやった。ここまでが1ページ目だ。一休憩することにする。  席を立ち、キッチンでテーブルの上に座り、茶を飲む。暗くなった窓ガラスに映りこむオレの顔を見た。 喜びで目が輝いている。  あと少しで、エッセイは書き終わる。
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