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五限目の授業がはじまった。が、僕は頭がボーっとして、何も頭に入って来なかった。
渚さんは僕のことが好きだったんだ!
僕の心の中の小さな小人が小躍りしている。
僕は二年間、つまり高校に入学して初めて渚さんを見たときから好きだった。一目惚れというやつだ。
それから二年間ずっと渚さんのことを思ってきた。まさか、渚さんも僕のことを思っていたなんて。
そこで授業が終わるチャイムが鳴った。
放課後、僕は一人で家に帰った。
家には妹の有紗ひとりがいた。
「お父さんとお母さんは?」と僕は言った。
「お父さんはまだ仕事。お母さんはスーパーに買い物」と有紗が言った。
有紗がニヤニヤしている僕を見て言った。
「なに?ニヤニヤして気持ち悪い。どうしたの?」
「好きな人の告白が上手くいったんだよ」
「マジ!?良かったじゃん。で、いつデートとかするの?」
しまった!デートの予定を聞くのを忘れた。渚さんに好きと言われてうっかりしてしまった。
「聞いてない。明日にでも聞いてみるよ」
「聞かなかったの。バカだなぁ、お兄ちゃんは」
僕はジュースを持って自室に入っていった。
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