21人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
一つだけ、ただ一つだけ忘れたくないものがある。
はじめて友達だと言ってくれた人。
大切な人。
その人の姿をまだ見ていないとずっと心残りだった。
この幸せな世界には居なかった。
彼はまだ生きているということだろうか。
「思い出したかしら?さあて、どうする?」
少女はウェーブのかかったツインテールを揺らし右手と左手をそれぞれ器状にして問う。
「幸せな世界に残るか、絶望の世界に戻るか」
「私は……」
私は、
あの人に会いたい。
最初のコメントを投稿しよう!