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一つだけ、ただ一つだけ忘れたくないものがある。 はじめて友達だと言ってくれた人。 大切な人。 その人の姿をまだ見ていないとずっと心残りだった。 この幸せな世界には居なかった。 彼はまだ生きているということだろうか。 「思い出したかしら?さあて、どうする?」 少女はウェーブのかかったツインテールを揺らし右手と左手をそれぞれ器状にして問う。 「幸せな世界に残るか、絶望の世界に戻るか」 「私は……」 私は、 あの人()に会いたい。
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