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「……多分兄さんが俺の信徒ってやつになってくれたからだろうな」  そっぽを向いて言うのはとても子供っぽい。  信徒なんていう普段聞きなれない言葉を子供はあまり使わない。  彦三郎を外に出してやろうとオカルトだの民話だの宗教だのを調べていなければ俺も一瞬では分からなかったかもしれない言葉だ。 「は?」  俺は別に彦三郎の事を神様だとも思っていないし、畏怖もしていない。  彦三郎の言っていることは的外れに思える。 「兄さんが生贄になってくれただろ?」  とんとんと二回彦三郎は自分の手を反対の手で指をさす様に触れる。  それでようやく、俺の手がズキズキと痛んでいることをちゃんと認識する。 「そんなことでか?」 「そんな事じゃなかったみたいだな」  まあ、俺自体が生贄だったしその辺もあるんだろうな。  少なくとも、神格があることは確かだぞ。そう言って彦三郎は笑った。 「ということは、あの家から好きに出られるってことか? 悪霊にならないって事か?」  神だとかなんだとかはどうでもよかった。  一番に気になったのはそれだけだった。
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