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 気恥しい様な、照れくさい様な、妙な気分になる。 「俺こそ、ありがとう、だよ」  だけど、彦三郎と同じ気持ちなのだ。  突然やってきた俺と一年一緒に彼は過ごしてくれたのだ。  彦三郎も照れたみたいに視線をそらして、それからもう一度ニンジンの皮をむき始めた。  俺もその隣で玉ねぎの皮をむく。  友人と呼べるほど年も近くないし、そもそも彦三郎は人ではない。  けれど多分、彼は友の様な存在で、だけどお互いにそんなことは口には出さない。  時々我が物顔で俺の部屋を占拠する座敷童様はこれからもずっと俺の近くにいるのだろう。 「夏祭り楽しみだな」  彦三郎が笑顔を浮かべる。 「そういえば、あいかわらず彦三郎は門脇の人間以外には見えないのか」 「いや? それはもう神様みたいなもんだからどうとでもなるさ」  だから、焼き鳥もイカ焼きもチョコバナナも自分で買えるからな!と楽しみそうに彦三郎は言う。 「それは、楽しみだな」  穏やかな生活をこれから友人と楽しめそうなことを喜びながら、カレー作りを再開した。 了 
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