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屋敷に戻ると、彦三郎は最初の部屋でゲームをしていた。
ゲームがあるということはインターネットへの接続もあるのだろう。
「どれにする?」
アイスを三つだして確認をする。
彦三郎は不思議そうな顔をしてアイスを見た後、チョコレートのかかった棒アイスを選んだ。
そのまま台所に行って、自分用のアイス以外のものを冷蔵庫にしまう。
それから、アイスを持って彦三郎のいる部屋に戻った。
「一緒に食べていいか?」
もう包を開けてアイスをかじっている彦三郎にきくと「ああどうぞ」と何もない畳をトントンと叩かれる。
並んで座る。
視界いっぱいに広がるお札が居心地の悪さを何倍にもしていた。
「彦三郎さんはいつからここにいるんだ?」
子供をさん呼びするは微妙な気がしたけれど、呼び捨てにできるほどの度胸は無い。
「ざっと、二百年位ってとこだ」
彦三郎は溶けてたれてきたアイスを舐めながら、テレビで見たことはあったけどこんな味なんだなと呟いた。
二百年前が具体的にどんな事があったかは分からないが、多分江戸時代だ。
彦三郎は嘘を付いている様に見えない。
「それ、溶けるんじゃねーのか?」
俺のアイスのカップを指さして彦三郎は言う。
慌てて紙のふたを開けると半ば溶けている様に見える。
仕方なく、木のスプーンですくって食べ始める。
「二百年ここで何をしてるんだ?」
「座敷童が何をするか知ってるか?」
質問に質問で返されてしまう。
座敷童は子供の頃漫画か何かで読んだことがある。
たしか、座敷童がいる家には福が訪れるとかなんとか。
そこまで考えたところでその先が分からなかった。
座敷童はなんで家にいるのか、座敷童は家で何をしているんだったか。考えたことも無かった。
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