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露美 side
桜の花びらが舞い、俺の視界を埋める。
ここは学園。そして今日は入学式。
ずっと、誰かを探していた。
誰なのかは、まだ思い出せないけれど、俺のとっても大切な奴。
顔も思い出せねぇけど、そいつが俺のこと大好きってことと、俺もそいつのことをものすげぇ愛してることは分かる。
そうじゃねぇなら探さないだろ?
でも、今まで1度もそいつらしき人物を見たことも、あまつさえすれ違ったこともねぇんだ。
有名になったら、俺に会いに来てくれるかもしれねぇ!って思って、中学では勉強も運動も、料理も裁縫も完璧にこなしたんだぜ!!
まぁ、学費とかの理由で中学は学区1のバカ校だったんだけど…。
それでも頑張った。出来る限りの努力をした。
…けど、さっき言った通り、「こいつだ!」って奴には出会えなかった。
さすがに、有名なこの学園に入れば会えるだろうと思って、奨学金制度の試験受けて入ったけど、やっぱどうだかわかんねぇや。
_________会えるといいな、俺の愛しい人。
そんなことを思いながら、俺は学園の門をくぐり、校舎に向けて歩き出した。
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