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露美 side  校舎に向けて歩いていたとき、桜の花びらに混じって、沈丁花の花びらがひらりと俺の白いブレザーについた。どこから来たのだろう?と花びらが舞ってきた方向へと顔を向け、その香りを鼻に感じながら沈丁花を探していると、 「ロミ…オ?ロミオなの?」  名前を呼ぶ声が聞こえて、くるりと振り向く。  俺の7、8メートルほど後ろにいたのは、女子にしては短めの茶髪に、ペリドットのような大きな瞳、桜色にほんのりと染まった頬、そして、なぜか手で口を押さえている、美少女…いや、美少女と見間違うほどの美少年が立っていた。  思わず凝視してしまう。茶髪は遠目から見ても男にしては艶やかで、丁寧に手入れしているのが見てとれる。肌も白く滑らかで、もっと近かったら思わず触れてしまうだろう。そして、ペリドット色の瞳。俺はこの瞳を知っている…気がする。あいつもこんな色の瞳だったような…。  さすがに俺が見すぎてしまっていたのか、相手が何故か頬を触っている。顔に何かついているとでも思ったのだろうか?  何にせよ、このままではなにも進まない。それに遅刻してしまう。後で話せるように名前だけでも聞いておかねば。  そう思って、相手に近づく。 「俺、お前のことを知っているような気がする。お前、名前は?」 俺がこの言葉を言ってしまってから後悔したことは、想像にかたくない。
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