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樹里side
「え、ぼ、僕は、木戸樹里。よろしくね!えっと~」
「門田露美。よろしくな、樹里」
「露美くん!よろしくね!」
ロミ!やっぱりこの人はロミオの生まれ変わりかも!
僕がこう思ったのには訳がある。
僕の名前は木戸樹里。
ジュリエットのフルネームはジュリエット・キャピュレット。
そう、僕の名前はジュリエットの名前とほぼ(?)同じなのだ。
ジュリエットだから樹里。キャピュレットの最初と最後のキとトをとって木戸。
だから、ロミオの生まれ変わりも、ロミオ・モンタギューから取られてるんじゃないかな~?って思ったんだよね!
思った通り、露美くんの名字の門田はきっとモンタギュー、名前の露美はきっとロミオからだと思う。
やっと会えた!やっと話せた!
愛しいロミオ………。
…でも、多分露美くんはロミオの記憶を持ってはいないだろう。もし記憶を持っていたなら、僕がロミオと呟いた時にジュリエットかどうか確かめるはずだ。僕、いや、ジュリエットの記憶の中でのロミオのまま変わっていなければ、そうするはずだ。
出会えて、もしも記憶がなくても一緒に話せるだけで良いと思っていたのに、今は、ロミオの記憶がある露美くんと話したい。露美くんと、ロミオと話したい。会いたい。名前を、ジュリエットと呼ばれたい。「会いたかった」と、抱き締めてもらいたい。
露美くんを前にしていると、そんな欲がどんどん湧いてきてしまう。
そんなことを思っていると、ずっと黙っている僕を不安に思ったのか、露美くんが話しかけてきた。
「どうかしたか?具合が悪いのか?」
そう言いながら僕の顔を覗きこみ、頭にそっと手を乗せる。
その口調が、仕草が、ロミオにそっくりで、思わず泣きそうになってしまう。
「だ、大丈夫だよ!心配してくれて、ありがとう。」
そう言って、急いで露美くんから距離をとる。そして、
「ほら、もうすぐ入学式始まっちゃう!行こう?」
と言って、露美くんの手を取り、僕は校舎へ向かって駆け出した。
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