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七歳にして傍若無人な愛娘の行く末を案じていたお妃の、唯一の楽しみは、王様からプレゼントされた手鏡に自らを写して、その美しさを再確認する事でした。
「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは、だあれ?」
「それはお妃さまです」
鏡が答えました。学習型AI搭載の最新型です。
「まあ、今日も上手なのね、〇リ」
ネーミングがちょっとギリです。
「ただ、あと八年もすれば、白雪姫に取って替わられるものと思われます」
「まあ」
お妃は目を丸くしましたが、それもむべなるかな、でした。母親の自分の目から見ても、白雪姫は美しい少女だったからです。
「事実、王様はもう目を付けておられます」
「何やて?」
お妃は驚きのあまり、お国ことばが出てしまいました。
「何やて?今何ゆうた、〇リ」
「王様は、既に『青い果実が熟れるのを待ち切れん』とツ〇ートしちゃってますし」
「何なんあのオッサン、自分の、年端もいかない娘に欲情て、キ〇ガイちゃうか?ホンマムカつくわ」
出版コードすれすれのお妃の怒りも最もです。
しかしここで、お妃は冷静になって考えました。いかに変態であっても、一国の王様です。その権力を持ってすれば、黒も白になってしまうのです。
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