第一章 精鋭部隊の劣等兵

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また留守番。また部屋で留守番。 ここに来る前から、重要な任務には滅多に参加できない。そんなことはわかっていた。わかってはいるのに、いざそうなると悔しくてたまらなかった。自分に実力がない感じがして。自分を拒否されているような気がして。 今まではどんな時でも自分が呼ばれ、任務を任され遂行してきた。頼られてきた。では今はどうだろう。重要な任務とわかれば外され、簡単な任務しか与えて貰っていない。活躍するチャンスが全くないと言っていい。 このままで本当にいいんだろうか。 目の前にあるチャンスを掴み損ねているような気がしていた。かと言って、自分にできることは何もなかった。 ブラッド自身、自分に実力はある方だと思っている。ただ、その実力を証明するチャンスが一度もなかった。集団行動を乱し、自分勝手に行動すれば何でもできる。しかし、それをすることは許されない行為であり、危険も伴う。様々な事情が自分の挑戦を制限しているように思えた。 考えれば考えるほど焦りがこみ上げてきた。落ち着かせるようにしてブラッドは深呼吸をする。たとえチャンスがなくても、時間と共になくなるわけではない。時間をかけて自分の力を証明する。それを自分ならできる。そう言い聞かせて拳を握りしめた。
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