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部屋に残ったのはブラッドとアスコート。昨日ここで会った時とは比にならないくらいの緊張感をブラッドは感じた。
急いで椅子を二脚用意して並べた。
「どうぞ」
「すまないね」
ゆっくり椅子に腰を下ろした。その様子を見ながらブラッドも椅子に座る。
ブラッドはなぜ自分だけを残したのかを考えていた。横に座ったアスコートは何も言わない。少し戸惑ったブラッドを尻目にアスコートは突然に話を始めた。
「ベンダー君は君と同じく、最近入ったばかりの新人だった。彼は正義感が強くて、真面目で、何事にも真っ直ぐだった」
ただ遠くを見つめ、語り続けるアスコートの声にブラッドは黙ったまま耳を傾けていた。
「彼は多くの人を助けたい。軍隊の頃からそう言っていたらしい。君も同じなんじゃないかな」
アスコートがこちらを向いて目を合わせた。
「今日、彼に何があったのか教えてくれないかな。君が知っている全てのことを」
「わかりました」
一呼吸置いて、どこから話そうか考えていた時、扉が開かれた。
「あれ? 他の人たちは?」
クリスティアがUSBメモリーを取りに戻ってきた。戸惑った表情で扉の前に立っていた。
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