第二章 苦悩

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嫌な想像をしながら、もう一度始めようとしたとき、胸ポケットの通信機が振動してブラッドの手を止めた。通信機は任務時にしか持ち歩くことがなかったが、航海班の開発係が小型軽量化され大量に作られ、昨日各部隊に配備されていた。それが今初めて使われた。片手で軽々と持てる板状の端末。この惑星『アベル』に人類が来る前の地球で使われていた『スマホ』と形状が似ているとブラッドは思った。 耳に当てると、通信が多少悪くなったが、内容はしっかり聞くことができた。前の通信機の方が繋がりは良かったとブラッドは口をへの字に曲げた。 射撃用の銃を片付けて会議室まで向かう。射撃場から、会議室まで距離があった。射撃場は殲滅隊区の隅の部屋だ。QUIET区は精鋭隊区の隣だったが、移動には時間がかかった。案の定、一番最後だったが、誰も何も言わなかった。
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