秤にかけてみる

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「何かあったでしょ?話辛い事?大丈夫、ここはそんなに人通り多く無いし、私の口が硬いって知ってるでしょ?何でも話して? 話したく無いなら別に無理にとは言わないけど……」 「……」 木下さんにはいつも助けてもらって感謝しっぱなし。でも、だからってこんな事簡単に言えない……。 「……うん。わかった。じゃぁ話さないで良いよ?ごめんね。でも話したくなったらいつでも言って」 「……ありがとう、ございます」 全然!と溌剌とした顔でコンビニのお弁当を頬張る木下さん。 本当、素敵な先輩。 いつだって優しくフォローしてくれて、寄り添ってくれる。こんな人に私もなりたい。 いつか話せる時が来るのかな……。 木下さんに良い報告をする為にも私の知らない事が多すぎる。 慎さんの前妻が来たことも、室井さんのことも……。 慎さんとのこれからを大切にしたいからこそ、慎さんの全てを知る必要があると思う。 今日、帰ったらきちんと聞きたい。 逃げないで、ちゃんと真っ直ぐに。 「木下さん、いつもありがとうございます。全部終わったら笑い話として聞いてくれたら嬉しいです」 「ふふ。なーにー?決意が固まった、みたいな顔して。 戦いにでも行くの?」 木下さんの言葉に強めに頷いて目の前のお弁当を頬張る。 大丈夫。きっと、慎さんは話してくれる。 私の気持ちも、慎さんの想いも、きっと同じはずだから。
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