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「ごめん、別れよう。違う人の事が好きになった」
それは突然訪れた。
あの時感じた予感が見事に的中。
わかってたはずなのに止めどなく涙が溢れて止まらない。
「ごめん」
私の契約したマンションに彼が転がり込んできた形で始めた同棲。
気づいてないと思ってるけど、彼が別れを切り出す随分前から荷物が少しずつ減っていったのを知っている。
気のせいであってほしかった。
物足りない関係でも無くなってしまうのは寂しくて仕方がない。
ねぇ、待って。
もう一度だけ振り向いて……。
私の心の声は彼に届く事はなく、バタンッと音を立てて閉まる玄関の扉を歪む視界でずっと眺めていた。
わかってたからこそ何も言えなくて。
日々減っていく荷物を見るたびに心がズタズタに引き裂かれた。
彼と過ごした日々は、失った瞬間にそれが大切で大事だった事に気づいた。
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