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「ましゅたー!!ねえ、聞いれよ」
大学時代からよく訪れるこじんまりとしたBAR。
白髪を通り越して銀髪な渋めのマスターのイケボが好きで何かある度にここに来てる。
マスター、有岡さんは基本は寡黙な男で、BARのマスターなのにお酒に弱い。
その昔、ちょっとした悪戯心でマスターの飲むウーロン茶にウイスキーをとろりと入れて素知らぬ顔をして見守ってた。
何も知らずに一口、二口……。
三口目にマスターは豹変した。
「てやんでぇーぃ!ばろめぇーぃ!お前ら若ぇもんは酒の飲み方がなってねぇーんだ、ばっきゃろー!」
ちゃきちゃきの江戸っ子がそこに現れた。
有岡さんはつらつらとお酒のトリビアを語りに語った後、電池が切れたように眠った。
その時硬く心に誓った。
……もう、悪戯しない、と。
「……でね、私ふられちゃったー!」
長々と今日あった出来事をマスターに話すと、寡黙な男、有岡さんはニコリともせずスッとお酒を出してくれた。
今日はとことん飲んで良いというお許しがでた。
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