異変

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「ここは…どうやら私(わたくし)は召喚された様ですね」 そう言って周りを見渡しながら告げる女性に俺は言葉を失っていた。 …断じて裸だからではない。 「…サキュバスか?」 「あら、貴方がマスターなのね?残念ながらサキュバスではないわ。私は…今は堕天使と言うべきかしら?」 そう言って背中から翼を出す女性。その翼は漆黒の色をしていた。 「…堕天使…?!神話でしか聞かないあの?」 「神話かどうかは知りませんが私は堕天使で間違いありませんわ。…それより、何か着る物は御座いませんか?殿方の前で裸と言うのは少し…」 そう言ってモジモジとする堕天使に布を手渡す。確かにこれ以上裸を見ているとどうにかなってしまいそうだ俺の理性が。 布を被った堕天使は翼を戻し、ペタンと床に座った。 ここで堕天使のステータスを見てみる。 ーメナスー レベル99 体力 6000 MP 560 力 300 守り 650 賢さ 2000 天使に悪の感情が入り天界から追放された者。 しかしその強さは天使を上回ると言われている。 スキル 念話 「メナス…」 「はいっ呼びましたか?」 そう言ってメナスは俺の近くに来て膝に手を置く。超絶美人からそんな事されたら流石に俺も手が出てしまいそうになる。俺は咄嗟にメナスと距離を取る。残念そうな顔をしていたがある疑問が頭に浮かぶ。 …メナスは魔物…なのか? 見た目は人間…というより元天使なのだろ? 魔物とは違う様な気がするが…。 「私が魔物かどうか思っているのですか?」 「!心が読めるのか?」 「いえ…そんなお顔をされていたので」 「なるほど…それで、メナスは魔物なのか?」 「正確には違います。しかし、負の感情を持ってしまった私は悪の魂があります。悪の魂は言うなれば魔王に近い感情で、魔王とはダンジョンマスターの事を言います。それで魔物ではない私を召喚出来たのでしょう」 「魔王…?魔王とは一体なんだ?」 「魔王とは魔を統べる王の事です。魔物を従える力を持つ貴方は魔王の資質があるという事でしょう…詳しくは私にも分かりませんが」 「なるほど…魔王か…。ところで召喚と言ったか?俺は融合をして創作したつもりだったのだが」 「創作は何も無い所から誕生させるもので召喚は世界に居るものを呼ぶ事を言います。今回は融合において召喚という形になったのでしょう」 つまりメナスは創作ではなく召喚…という訳か。ややこしくなってきた。 まあ何より、これだけの強さを持つメナスを仲間に入れる事が出来たんだ。今は喜ぼう。
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