古城の畔にて

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「オーナー、 商品チェック完了しました。 次は何を致しましょうか?」 テキパキといいつけをこなしてゆく私に、ご主人様のご主人様、源二郎(オーナー)殿は相好を崩した。 「ああ、そう? じゃ、こっちもお願い。 いやー、チョッちゃん(ショコラの偽名)はしっかりしてて、助かるよー」 そりゃあそうだ。 なにせ私は、あの、だらしないご主人様のお世話を400年も続けいるのだから。 私はこの、コンビニとやらに来るのは初めてだが、ご主人様の力で源二郎(オーナー)殿の記憶を少しいじってある。 彼の頭では、私は少し前からご主人様と交代で詰めている女子大生アルバイトということになっているのだ。 「へへっ、それに、可愛いしね」 「?」 不思議にも源二郎殿は、私のシッポの辺りをさすりながらニタニタしている。 嬉しそうな顔をしているから、おそらく友好を示すジェスチャーなのだろうが… 少し気色悪い。 私がさりげなく後ろに下がると、彼はちょっぴり残念そうな顔をした。 「じゃ、ワシは家に戻るから。 後10時に配送来たら陳列お願いね。何かあったらケータイかけて」 “全く、ヤローのバイト君とは大違いだ” などと私にとって聞捨てならんことを言いながら、彼はスタッフルームへと消えていった。
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