古城の畔にて

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パシィッッ_____ 青い閃光。 身体の中を電流が突き抜けたような衝撃とともに、私は地面に叩きつけられた。 チリチリと毛が焼ける音、酷い臭気はもしかしたら、自分が焦げているニオイなのかもしれない。 ああ、この世に生まれ落ちて2年。 生まれ育った群れが襲われ、やっと一匹、この森まで逃げてきて。 ろくな(ゴハン)にもありつけず、かつかつ飢えを凌ぐ日々。 お年頃だってのに、素敵な(ダンシ)交尾(デート)もなく、しまいには… ああ、 私の人(?)生、いいことなかったなあ… 私は、冷たい地面に寝そべり、今にも己の命が尽きる瞬間を待っていた。 と、 「…君、なんで? どうしてこんなこと_____」 哀しみを帯びた、染みわたるような深い声が耳に入った。 そして、 それとともに私の小さな身体は、フワリと包まれ、浮き上がった。
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