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01
ナカに挿入った長い綺麗な指が、粘膜を鋭く抉りその度に俺は声を上げてしまう。
「あ、みぃつけた、………会長の好きなトコ」
右耳近くで空気を吐くように語尾にハートがついた台詞を囁かれ、顔に血が集まるのがわかる。
「…っ、アッ、ん」
その愛おしい愛おしいと言わんばかりの声とか触り方に俺はこれまでない幸福感に包まれる。
何故今俺はこんなことになっているんだ、今更自問したところで状況に変化が訪れないことはわかっている。それでも、現実逃避せずにはいられない。
どうしてこうなった。
***
多分、この一連の流れの大元となるきっかけはあのマリモが転入してきたことだろう。最初からぶっ壊れていたといえば、それは否めないけれどこの状況に陥ったのは、マリモが転入してきたからだと言える。
俺が在籍するこの学園は中高一貫の全寮制男子校。ここまで言えば大体の読者は把握してもらえるとは思うが、まあ、学園は荒れた。
王子様と揶揄される副会長は、転入生を迎えに行って帰ってきてから頭の中お花畑になったし、セフレの多い会計はマリモと友達になって性生活から抜け出して幸せそうだし、日本語不自由な書記は自分の念力が伝わる超能力者と出会えて日々の生活が充実したようだ。
本当に良かったね。彼らが幸せならいいだろう。
皆総じて寂しかったのだろうな、と思う。
俺だってこの学園は異常だと思うし、「会長様、会長様」と祭り上げられるのは好きではない。
親衛隊といったトチくるった集団に監視され、狭苦しい思いをしているのは真実だ。かく言う俺も、親衛隊らに逆レイプされそうになったことは在学中にそれは数えきれない程あった。
だけどさ、だけどね?「役員をやる」と言った手前、その発言の責任は取るべきだと思うのよ。
生徒会室に残されたのは、たくさんの書類と俺だけで、残らず。静まり返った生徒会室に出入りするのは、憔悴しきった俺と早くリコールしろとうるさい風紀の野郎と、マリモだけ。
マリモはその鬘と分厚い瓶底眼鏡を取り去ってただの美少年と化しており、なかなか靡かない俺に「悠真ぁ…、俺の本当の姿……見て?」とその綺麗なツラで擦り寄ってきたが、本当に勘弁して欲しかった。確かにその可愛らしい顔も小柄で華奢な身体もこの学園じゃ格好の餌食となるだろう。
だかな、俺はゲイだがネコなんだよ!!
この学園で抱かれたい男1位になってしまったがために、俺は残念なことに処女である。
その可愛らしいマリモも俺は全力でお断りなのだ。憎らしくすら見える。俺だってアンアン言いたいのに…!!
………嗚呼、俺もお前みたいに可愛かったら、アイツに抱いてもらえるのかもしれない。そう思うと、目に光るものが………
この俺が想いを寄せる「アイツ」とは、保健室で出会った。過重労働が原因で廊下でぶっ倒れた俺を保健室まで運び、看護までしてくれた後輩。
「悪かったな」と俺の中で精一杯の感謝の言葉を言うと「いえ、保健委員ですから」と低く響くバリトンで言う。そこで、「ありがとう」と素直に言える人間になりたい、と心底思った。
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