02

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平凡な後輩は、顔こそパッとしないものの身長は俺よりずっと高いし体格も良い。顔だって平凡なだけで悪くない。奴に一目惚れしてしまった俺は、多忙な仕事の合間を縫って保健室に会いに行った。 会いに行く度に「また来たんですか」とぶっきらぼうながらにコーヒーを淹れてくれる後輩、残念ながら俺には好きな野郎に対して素直になれるスキルは持ち合わせておらず、「悪いかよ」と更にぶっきらぼうに返してしまう。 本当は、「会いたかったから」とかマリモみたいに素直に言いたいのに。 コーヒーを淹れる時、俺は何も言っていないのに、ミルクを半分入れてくれる。皆勘違いしているが、俺はブラック派ではなくたっぷりミルク派だ。 そんなことに、顔が緩んでしまうくらい嬉しいはずなんだ。それでも俺は、素直になれない。 どうしても、自分とマリモを比べては勝手に自己嫌悪してしまう。 保健室のベッドを借りて休憩をする俺の髪を触る大きな手に気づいたのは一週間前。多分、アイツは俺が寝ていると思ったんだろうけど、俺は安定の狸寝入りをこいていた。幸か不幸か、その手の優しさに俺のハートは鷲掴みされてしまった。もう痛いくらいに。 「もしかしたら」っていう、期待とか「勘違いしてはいけない」という不安がせめぎ合って俺は今にもバラバラになってしまいそうだった。 そんな矢先、俺は見てしまったんだ。 平凡な後輩と、面食いなマリモがキスをしているのを。 それを見て、「やっぱり、お前はアホだな」と誰に言われたわけでもない言葉が俺の柔い内臓を抉る。俺みたいなゴツくて雄々しい奴をあの後輩が好きになってくれるわけないのだ。わかっていたはずなのに、期待して馬鹿みたいだ。 アイツにはマリモみたいな可愛らしい男の方がお似合いだ。この学園の生徒がなんと言おうと、アイツらは、お似合いだ。 俺は二人の空間から踵を返して、生徒会室に戻った。 その日、俺は積もりに積もった仕事を見事に全て終わらせた。今まで苦戦していたはずなのに、その日は何故か捗ってしまった。 そこから俺は仕事も無いのに生徒会室に閉じこもり、授業にも出なかった。 そんな生活が丁度一週間となった今日は、フラッと校舎を徘徊していた。屋上で昼寝をしたり、誰もいない図書室で本を読んだりした。もちろん、保健室には一切近寄らなかった。 さあ生徒会室に戻ろうと、生徒会室の扉を開けようとした瞬間、内側から扉が開き「まずい、」と思ったのも束の間、中に引きずり込まれ、部屋の奥にある休憩室に押し込められた。 うつ伏せのままベッドに押さえつけられ、腕を拘束されてしまい、「だれだっ!」と半狂乱になって、俺は犯人の顔を見てやろうとベッドに押さえつけられた体を捩り、正体を見て驚愕してしまった。 「………ちあき?」
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