運命の番

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3人は部室に向かう。部室に向かう途中、サッカー部の主将と会う。 「おっ、幼馴染トリオ来たか!3人とも早く着替えてこい!」 「はい!じゃ、早く準備しよう!」 結はそう言って、蒼生と三日月の背中を押し、部室に向かった。更衣室に着いて、結は女子更衣室、蒼生と三日月は男子更衣室に入った。男子更衣室には、2人以外に人はいなかった。男子更衣室で着替えをしながら、蒼生が尋ねる。 「三日月、第2性別診断の結果どうだった?」 「…えっ!」 突然のことに、三日月はドキッとする。 「いや、俺はαだったから三日月のも気になっちゃって。ちなみに、結はβだって。さっき聞いた。」 「そ…そうなんだ……。」 なんて言葉を返したらいいのか分からず、三日月はぎこちない返事をする。その様子に違和感を覚えたのか、蒼生が口を開く。 「どうしたの?なんか三日月、変だよ?」 「そ…そう?気のせいじゃないかな?あ、ほら!さっさと行かないと、主将に怒られちゃう!」 三日月は不自然にならないように笑顔を作り、無理やり蒼生の背中を押して更衣室を後にした。言えるわけない…言ったら、2人とも離れていっちゃう…。三日月の心はズキズキと痛んだ。 「そっちいったぞ!」 「先輩!任せてください!」 グラウンドで、部員達が汗をかきながらボールを追いかけている。部員達の声を耳にしながら、マネージャーの三日月と結は選手全員のゼッケンに付いた汚れを落とす作業をしていた。 「意外と汚れってつくもんなんだね~。」 「だね。落とすの大変。」 「マネも楽じゃないね~。」 三日月と結は、話しながらゼッケンを洗う。全部のゼッケンの汚れがある程度落ち、干しに行こうとしていた時だった。 「危ないっ!!」 部員の声が聞こえ、三日月は振り向いた。すると、サッカーボールが三日月めがけて飛んできていた。 「……っ!!」 三日月は突然のことに避けることが出来ず、持っていたゼッケンを落とし、そのまま体に当たり、倒れ込んだ。 「三日月!大丈夫!?」 結は慌てて持っていたゼッケンを置いて、三日月の元に近寄った。 「いたた……。」 三日月は腕を抑える。勢いの強いボールに当たり、バランスを崩して倒れた時に肘を擦りむいていた。 「三日月、大丈夫?立てる?」 結が尋ねる。 「だ、大丈夫…。これくらい……」 そう言いながら三日月は立ち上がろうとしたが、立つことが出来なかった。
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