運命の番

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「痛っ!」 立ち上がろうとすると、痛みが邪魔をしてくる。 「三日月!どうしよう…誰か先生を……」 結が部員に声をかけようとした時、1人の男子が三日月の近くに寄った。蒼生だった。 「三日月…。」 「あ、蒼生…?」 「嫌かもしれないけど、捕まってて。」 「え?何?……うわっ!?」 蒼生は三日月が楽にできるように、お姫様抱っこをして三日月を抱き上げた。 「ちょ…ちょっと、蒼生!」 「大人しくしてろ。痛いんだろ?」 「……っ!」 三日月は何も言えず、黙り込む。蒼生は三日月を抱えながらグラウンドを後にした。 「大丈夫か?まだ痛む?」 「まだちょっと…痛い……。」 「…分かった、ちょっと待ってろ。」 2人は保健室着いたが先生がおらず、蒼生は手当て出来るものを探していた。三日月はその様子を静かに見守る。そして、申し訳なさそうに口を開く。 「ごめんね…蒼生。迷惑かけたよね?」 「謝るなよ。謝るのはむしろこっちだって。わざとじゃないけど、部員が蹴ったボールをぶつけちゃってごめん。」 蒼生は見つけた消毒液をガーゼに出し、三日月の怪我したところに軽く当てる。 「いっ…!」 「ごめん、もうちょっと我慢して。」 そう言いながら、蒼生は何回かガーゼを当てた後、絆創膏を貼った。 「はい、これでどうだ?」 「…ありがとう。助かったよ。」 三日月はニコッと笑みを見せた。 「当たったところは?まだ痛む?」 そう言うと、蒼生は三日月の体に触れた。 「…んっ!」 三日月がピクッと反応した途端、甘い匂いが保健室全体に広がった。
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