15人が本棚に入れています
本棚に追加
「痛っ!」
立ち上がろうとすると、痛みが邪魔をしてくる。
「三日月!どうしよう…誰か先生を……」
結が部員に声をかけようとした時、1人の男子が三日月の近くに寄った。蒼生だった。
「三日月…。」
「あ、蒼生…?」
「嫌かもしれないけど、捕まってて。」
「え?何?……うわっ!?」
蒼生は三日月が楽にできるように、お姫様抱っこをして三日月を抱き上げた。
「ちょ…ちょっと、蒼生!」
「大人しくしてろ。痛いんだろ?」
「……っ!」
三日月は何も言えず、黙り込む。蒼生は三日月を抱えながらグラウンドを後にした。
「大丈夫か?まだ痛む?」
「まだちょっと…痛い……。」
「…分かった、ちょっと待ってろ。」
2人は保健室着いたが先生がおらず、蒼生は手当て出来るものを探していた。三日月はその様子を静かに見守る。そして、申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんね…蒼生。迷惑かけたよね?」
「謝るなよ。謝るのはむしろこっちだって。わざとじゃないけど、部員が蹴ったボールをぶつけちゃってごめん。」
蒼生は見つけた消毒液をガーゼに出し、三日月の怪我したところに軽く当てる。
「いっ…!」
「ごめん、もうちょっと我慢して。」
そう言いながら、蒼生は何回かガーゼを当てた後、絆創膏を貼った。
「はい、これでどうだ?」
「…ありがとう。助かったよ。」
三日月はニコッと笑みを見せた。
「当たったところは?まだ痛む?」
そう言うと、蒼生は三日月の体に触れた。
「…んっ!」
三日月がピクッと反応した途端、甘い匂いが保健室全体に広がった。
最初のコメントを投稿しよう!