花と肉

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 タクシーは長くもあっという間でもなくあたしのアパートの前に着いた。 タクシーの中で脱いだヒールを手に持って、靴下で降りて走った。 痛っ、なんか踏んだ。 がっちゃがちゃばたん、と部屋に入って、塩を片手いっぱいに掴んで頭からかけた。 「……よし、やるか」  たまったゴミ袋を足で蹴って場所を作る。  あんたに飾ろうとした肉、八万九千八百円。 家賃よりも高い超高級肉だよ、ばーか。 今から焼いてやる。 何これ、塩胡椒しなくて焼いていいの? わかんねぇよ。 明日っからもやしと豆苗生活だわ、野菜好き節約女子にさせやがって。  んでも、くそほどいい匂いじゃんか。  じうじう、じわじわ──寂しい音に聞こえるんだから、面白くって笑えてくるよ。
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