惚れ飴

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そして、朝。 「行ってきます」 と家族に投げかけ家を出た。 ああ、ちょっと家出るの遅くなっちゃったな……電車一本見送るか。 とそこで、家族からの『行ってらっしゃい』がなかったことに気づく。 あれいつもは言ってくれるのに……。 まあいいか、気付かなかっただけだろう。 それより周囲の視線の方が気になる。 駅に向かうまでの道のり。 歩いている時も信号で止まっている時も、誰も彼もが私を見る。 あれ……私なんかおかしいのかな? パジャマのまま来ちゃったとか? そう思い自分の格好を確認するも、特に変なところはない。 至って普通の通勤スタイルだ。 不思議に感じつつも駅に到着する。 改札を通り、ホームへ下る道すがら――― 「好きです。付き合ってください」 初めて見ず知らずの人から駅で告白された。
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