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運命の果実の美味しい戴き方
地方都市にあるアパートの一室。スマホのアラーム音が
鳴っている。7時にセットされていた目覚ましだ。
幸男は布団から手を伸ばしアラームを止めた。
「おはよう」と若い女性の声がした。
「おふぁようー」
寝ぼけた幸男はあくび交じりに答えた。だが部屋には
自分以外誰もいないはずだし、ましてや女性などいる
訳がないことに気づいて跳ね起きた。
幸男の目の前にはセクシーな衣装を着た二十歳前後の
女性がいて、彼が寝ていた布団の上に座っていた。
「私の名前はリサ」
幸男は彼女を知らないし、「リサ」という名前にも
覚えはなかった。
「アナタは私のこと知らないかもしれないけど、私は
アナタのこと、よ~く知ってる」
一体何が起きているのか、さっぱり状況が掴めない
幸男にリサが続けた。
「私はあなたに寄生している幽霊、そう『寄生霊』なの」
「…寄生、ちゅう(虫)?」
「虫じゃない、レ、イ!」
とリサは不貞腐れてプイっと横を向いた。
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