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小さな魔法使いの目覚め?
ピチチッ、ピピッ。
白いカーテンの向こうから太陽が昇り、柔らかな日差しが入ってきた。その部屋は、小さなベッドに机と椅子、それに小さな本棚とおもちゃ箱がありました。本棚には、絵本を始めとした子供用の本が並んでいました。壁紙も子供用に動物のかわいい絵が描かれていました。そして、ベッドも動物の形のもので作られていました。布団には、乗り物の絵柄が付いていて、そんな布団の中に男の子が一人で眠っていました。
「すー、すー。」
しばらくすると、ノックの音がして、ドアが開きました。
コンコン。
ガチャッ。
二十代半ばほどの女性が部屋に入ってきました。
女性は、ベッドの中の男の子に声をかけながら揺り動かしていました。
「菫、菫起きなさい。朝よ。」
しばらくすると、男の子が目を覚ましました。まだ、眠そうに目をこすりながら女性にあいさつをしていました。
「おはよう、ママ。」
どうやら、彼女は母親のようです。母親も笑顔であいさつを返しました。
「おはよう菫。今日も良い天気よ。早く起きてご飯にしましょうね。」
「は〜い。」
菫は、やっと起きたようで母親にしっかり返事をした後、さっさと起きて支度をしました。顔を洗って、服を着替えて支度が出来たら朝食です。母親も朝食の準備をして待っててくれました。
「ママ〜、お待たせ。出来たよ。」
菫は、母親にそう言うと母親の向かいの席に座りました。彼女は、嬉しそうに子供様子を見ていました。
「さあ、食べましょうか。」
「うん。」
「それじゃあ、あいさつをしましょうね。」
母親が、そう声をかけると菫は元気よく返事をしました。そして、二人で一緒に食べるときのあいさつを両手を合わせてしました。
「「全てのものに感謝を込めていただきます。」」
あいさつをすると、二人はすぐに食べ始めました。今日の朝食は、ロールパンにスクランブルエッグ、ウインナーにサラダがありました。二人は、食事をしながらそれぞれ思い思いの会話を楽しんでいました。
「ママ、あのね。僕、夢で魔法使いになってたんだよ。」
菫は、楽しそうに夢の話しをしていました。母親は、それを楽しそうに聞いていました。
「あらあら、すごいわね。菫、夢で魔法を使ってたのね。現実でも使えたらおもしろいわよね」
「使えるよ、きっと!練習して使えるようになってみせるからね。」
菫は、自信満々にそう言うと席を立とうとしました。菫は、いつの間にか朝食を食べ終わっていました。さっさと部屋に戻ろうとした菫を母親が止めました。
「菫待ちなさい!ちゃんと終わりのあいさつをしなさい。ママも一緒に言うから。」
菫は、しぶしぶながら返事をし、食事の終わりのあいさつをしました。
「はい。」
「「全ての命よ、我らの糧になって頂きありがとうございました。」」
二人は、また両手を合わせてあいさつをしました。あいさつが、終わって菫は歯を磨いて部屋に戻りました。部屋の中にある本棚の奥のレバーを引っ張ると机の隣にある壁の一部が動きました。
ゴゴゴゴゴ。
「よし、いくぞ!」
菫は、元気よく壁の向こうに入って行きました。
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