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秘密の部屋と魔法の本
菫は、薄暗い階段を壁づたいに降りていました。階段を降りていくと、ランプもない部屋がありました。しかし、ランプの明かりもないのになぜか部屋の中は明るく照らされていました。部屋の真ん中には丸い木のテーブルに椅子が2つありました。周りの壁際には、本棚があり古い本がたくさん並んでいました。菫は、その本を興味深そうに眺めていました。菫は、その中の一冊を手に取り見てみると、そこには見たことのない文字が載っていました。
「なんだろう。これ?う〜ん、わかんない。」
菫は、本の文字を読みながら考えこんでいました。
「・・・・あっ、そうだ!ママなら知ってるかも。聞いてみよう。」
そう言うと、菫は、本を持って母親の元へ急ぎました。先ほどの階段を上って自室に戻ると、リビングへと向かいました。
「よいしょ、よいしょ。ふぅ〜。」
そのままリビングへと向かいましたが、誰もいません。菫が、次に向かったのは中庭でした。すると、中庭に菫の母親の姿がありました。どうやら、中庭にある花壇のお手入れ中のようです。
「あっ、いたいた。ママ〜!」
菫は、先ほどの本を持って母親に駆け寄りました。母親は、作業をしていた手を止めると、菫に向き直りました。
「あらあら、どうしたの?そんなにあわてて。」
母親は、不思議そうな顔をして菫を見ていました。菫は、息を整えると、さっそく母親に本の内容を聞いてみました。
「ママ、この本何が書いてあるの?」
「えっ?ああ、はいはい。ちょっと見せてね。」
母親は、本を手に取って確かめると。
「・・・・・・?」
母親は、首をかしげて止まってしまいました。
「はぁ、ごめんなさいね。菫、ママにはこの本の文字は読めないの。いつものご本なら読んであげるからね。」
母親は、申し訳なさそうにそう言いました。菫は、そのまま母親から本を返してもらい自室に戻りました。
「うん、分かった。ありがとうママ。」
心なしか菫の後ろ姿が、ショボくれて見えた母親は心配そうに我が子を見つめていました。
菫は、中庭から自室に戻ると、開いたままの地下への入り口を見ていました。入り口を見てもう一度地下へ戻ることに決めました。再び階段を降りて先ほどの部屋に入りました。部屋に入ると、再び本棚を眺めていました。棚に並べられた本を見てあることに気がつきました。それは、本の中で一冊だけ題名がない本があったからです。赤や青の背表紙の本がある中でその本は一冊だけ真っ白い本だったのです。菫が、その白い本を手に取ると、本が淡く光始めました。菫は、本に何か仕掛けがあるのかと調べ始めました。菫が、本をひっくり返したりして本を開くと、開いたページから光りが溢れだし菫を膜のように包み込みました。菫は、びっくりして本を落とすと、光りが止みました。菫は、落ち着きを取り戻し、自分の体を確認し何事もないか見てみました。体に何も変化がないのを確認すると、今度は落としてしまった本を確認してみました。本を開いてみると、何も書いてありませんでした。
「・・・・・あれ?何もない。」
菫は、首をかしげながら不思議そうにしていました。しばらくその部屋を調べてみましたが、何もありませんでした。菫は、白い本と最初に持っていた本を戻して自室に戻って行きました。
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