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小さな魔法使いの誕生
菫は、自室に戻ると、ベッドに座り先ほどのことを思い出していました。白い本を手に取ると光り輝き自分を包み込んだ。そんなことが、日常で起こるはずがなく、菫の心臓はまだドキドキしていました。母親に、なんて説明したらいいのか分かりませんでした。それでも、やはり地下の部屋が気になり母親に聞いてみることにしました。部屋を出て母親の元へ行ってみると、母親は忙しそうに家から出て行きました。菫は、呆然と見送るしかできませんでした。
「菫、ママ出掛けて来るからお留守番よろしくね。」
「・・・・。」
菫は、母親が出掛けるのを見送ると、自分の部屋に戻って行きました。
「はあ〜、どうしよう。」
菫は、母親に地下の部屋について聞くこともできず悩んでいました。なぜなら、どうやって地下への入り口を閉めるのか分からなかったからです。そうです。地下への入り口は、あれからずっと開いたままなのです。菫は、ベッドの上で寝転がりながら考えていると、ふとしたいたずら心からか思わず甲呟いていました。
「秘密の部屋の入り口よ、閉じろ。“CROOZ”」
すると、どこからか音が響きました。
ゴゴゴゴゴ。
「えっ!なっなに?何の音?」
菫は、びっくりしてベッドから飛び起きて辺りを見回すと、地下への入り口がなくなっていたのです。あるのは、本棚の横に壁があるだけでした。
「あっあれ?なんで?さっきまで入り口があったのに・・・・。」
菫は、不思議そうな顔をして入り口があった場所をしばらく確かめていました。しばらくすると、菫はベッドへと戻って行きました。部屋には、誰も何もありません。菫しか見ている者はいなかったのです。菫は、そのままベッドに座っていると。
「まるで魔法みたいだなぁ。」
そう呆然と呟やいて、ベッドで眠ってしまいました。相変わらず辺りは静かなままでした。
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