セントの怖い話:だるまさんがころんだ

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 まあそれで、なーんだって感じで終わりそうだったんだけど、最後に順番回ってきたやつが「今返事なかった!」って声をあげたんだ。  それが言い出しっぺの城戸でさ、みんなびっくりして注目したよ。 「マジ?」 「マジだって、ほら、検索してねーだろ」  確かにスマホの画面は話しかけてください状態で、回答は何も表示されてなかった。 「聞こえてなかっただけじゃね?」 「もっかいやってみろよ」  城戸は今度はみんなが静かに見守ってる中でスマホに向きあった。  目を閉じて、はっきりと「だるまさんがころんだ」を言ったんだけど……本当に返事が返ってこなかった。  声はちゃんと聞こえてるみたいなんだ、ほら、文字として画面に出るだろ?  なのになんの応答もなくて、「だるまさんがころんだ」って文字が画面にでてきたらそのまま消えて、また話しかけてください状態にもどっちまう。 「マジだ!」 「なんでだ?」 「俺ももっかいやらせて」  ってみんな口々に迫ったんだけどさ、そこで休み時間が終わっちまった。  先生にスマホ見つかったら怒られるから井上は慌ててしまいこんで、みんなしぶしぶ自分の席についた。  僕もそのときは場の雰囲気でちょっと気になったけどさ、一つ授業受けたらもうほとんど忘れてた。  だってさあ、よく考えれば別にたいしたこと起きたわけじゃないだろ?  スマホから返事が返ってくるってのもどういうことかわかってないのに、返ってこないのがやばいって言われてもピンとこないんだよな。
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