0人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、それじゃあ料理同好会の活動について説明するね。まずうちの主な活動は、当たり前だけどいろんな料理を作ることです。それで、食材についてだけど、これは部員が各自調達します。家から持ってきてもいいんだけど、生ものとかは夏場だとすぐに傷んで使えなくなっちゃうから、近所にあるスーパーやコンビニで調達するのが基本です。説明としてはこんなところかな、同好会だから大会とかにも出てないしね。何か質問とかある?」
真愛はひとしきり話してから智にそう問いかけた。
「あの、顧問の先生は誰なんですか?」
智は、真愛が説明しなかった一番重要なことを尋ねる。
「ああ、そうそう。うちの顧問は小山先生なんだけど、あの人うちの活動に熱心じゃないし滅多に顔出さないから、挨拶とかはわざわざしに行かなくていいよ。あ、入会届は私から先生に渡しておくね」
真愛は今の今まで忘れていたという風に答える。
「ありがとうございます」
真愛は微笑みながら続ける。
「どういたしまして。じゃあ、ほかに質問とかなければ、今日は特にやることもないから、ここにいてもいいし、帰ってもいいよ。私は、まだ誰か来るかもしれないからしばらくここにいるけど、小林君はどうする?」
智は少し考えてから答える。
「僕も、もうちょっと残ります」
真愛と智は、その後一時間ほど部室に残ったが、その日は結局誰も来なかった。
その後も、真愛たちは毎日部室で誰か来ないかと待っていたが、とうとう誰も来ないまま一週間が過ぎ、勧誘期間は終わりを迎えた。このころになるとほとんどの一年生は入る部活を決めて、入部届を提出しているため、その年の料理同好会は真愛と智の二人だけの活動となることがほぼ確定した。
最初のコメントを投稿しよう!