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だが、そんなアレスにも味方が登場した。
「本当に、あの老人にしか見えないのかもしれませんよ?」
テーブルに戻ってきたセオが、アレスの意見に同意したのだ。
「アンタまでそんな……」
「何か、確信でもあるのかの?」
訝しげなリディアとドーハンに頷き、セオは自分の意見を話し始めた。
「おそらく、あの老人は他の人より霊感が強いのでしょう。普通の人には感じる事のできない『何か』を、見たり聞いたりすることが出来るのかもしれません」
「でも、冒険者の中には、あんたみたいな聖職者だっていたかもしれないでしょ?」
「それは否定できません。ですが……」
セオは一呼吸おくと、核心をつく意見を述べた。
「ラーマジールは、『排除されるのを恐れて現れなかった』としたら?」
「え……?」
リディアが驚いて目を見開く。
「じゃあ、なんであの人の前でだけ姿を現すんだ?」
「そ、そうじゃ。姿を見られたら、誰かに知らされることくらい予想はつくじゃろうからな」
アレスの疑問に、ドーハンもウンウンと頷いた。
じっと黙りこんだセオの口からどんな答えが出てくるのかと、アレスたち3人は期待して待った。
だが、セオはフッと笑うと「さあ、そこまでは」とサラリと言い退けた。
「エエッ!? そこが一番大事じゃないか!」
アレスが立ち上がって抗議をすると、セオは笑みを浮かべたまま言い返した。
「私はラーマジールではありませんからね。彼女が何を考えているのかは分かりません。本人に訊いてみない限りは……」
それが昨晩の出来事。
セオの鶴の一声(もはや、勇者であるアレスを差し置いて、パーティーのリーダーと言っても過言ではない)で、4人はこの墓地を訪れることになったのだ。
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