墓守りの依頼

2/3
前へ
/8ページ
次へ
 だが、そんなアレスにも味方が登場した。 「本当に、あの老人にしか見えないのかもしれませんよ?」  テーブルに戻ってきたセオが、アレスの意見に同意したのだ。 「アンタまでそんな……」 「何か、確信でもあるのかの?」  訝しげなリディアとドーハンに頷き、セオは自分の意見を話し始めた。 「おそらく、あの老人は他の人より霊感が強いのでしょう。普通の人には感じる事のできない『何か』を、見たり聞いたりすることが出来るのかもしれません」 「でも、冒険者の中には、あんたみたいな聖職者だっていたかもしれないでしょ?」 「それは否定できません。ですが……」  セオは一呼吸おくと、核心をつく意見を述べた。 「ラーマジールは、『排除されるのを恐れて現れなかった』としたら?」 「え……?」  リディアが驚いて目を見開く。 「じゃあ、なんであの人の前でだけ姿を現すんだ?」 「そ、そうじゃ。姿を見られたら、誰かに知らされることくらい予想はつくじゃろうからな」  アレスの疑問に、ドーハンもウンウンと頷いた。  じっと黙りこんだセオの口からどんな答えが出てくるのかと、アレスたち3人は期待して待った。  だが、セオはフッと笑うと「さあ、そこまでは」とサラリと言い退けた。 「エエッ!? そこが一番大事じゃないか!」  アレスが立ち上がって抗議をすると、セオは笑みを浮かべたまま言い返した。 「私はラーマジールではありませんからね。彼女が何を考えているのかは分かりません。本人に訊いてみない限りは……」  それが昨晩の出来事。  セオの鶴の一声(もはや、勇者であるアレスを差し置いて、パーティーのリーダーと言っても過言ではない)で、4人はこの墓地を訪れることになったのだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加