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加美月村(かみつきむら)の特別(とくべつ)な夜(よる)に
いつもは夜になれば、昼間よりさらに静けさの増してしまうぼくの故郷。
けれども今日は、今夜は、特別だった。
にぎやかな子どもたちの声が聴こえてくる。にぎやかなはしゃぎ声が。
(ぼくは、けっしてにぎやかで、はしゃいでいるような子どもには見えないのだろうな。)
赤と黒のマントに、とんがりボウシ、白い包帯ぐるぐる巻き、獣人の着ぐるみなんかが、ぼんおどりみたいなふしぎな舞いを舞っている。
仮装に身を包んだ、むじゃきな子どもの声で笑う者たちは、どこから来て、どこに消えてゆくのかわからなかった。
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