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バーレンは俺よりも二つ歳上で、初めて頭の良い人間だと思った。
非民の焼印は治療できる状況を整えて、バーレンに焼き潰してもらった。
弟の方はバカだった。
貧困層の服でバーレンの家に忍び込み、弟と鉢合わせたように装えば、弟は俺を見下し憐んでくる。とりあえず頭が悪いフリをしつつ反発して逃げた。
それを別の場所で何度か繰り返す内に、弟が俺に興味を持ち始めた。国内でも有力な貴族様である彼は、自分に逆らう人間が珍しかったのだろう。
単純バカで、小根は優しい、憎めない少年。
それがバーレンの弟、ドランだった。
憎めはしないが、正直好きにもなれなかった。
全てを持って産まれた少年。頭の切れる兄に愛され、スクスクと幸せに育つようレールが敷かれている。
この男が足掻く姿を見てみたい。
あの、少し垂れ目の男を思い出した。
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