毒物

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すっかり俺に心を許したドランは、弱きを守る優しい男に成り果てた。 貴族には嫌われるが、町の多くの人々からは愛される。これがバーレンの企みだったのだろう。 バーレン自身はあんなに弟を愛してるのに、ドランにキツく当たる。 ドランは兄に対しての不平不満をよく言っていたが、それでも兄が好きらしい。 バカバカしい関係だとは思ったが、見ている分にはおもしろかった。 バーレンは俺の望みを全て叶えてくれた。 食べ物と毒への興味は尽きなかった。 生きる為には食べなければならない。しかし、食べるという行為は生き物にとって最も無防備な瞬間の一つだ。 食欲、睡眠欲、性欲。 この三つのうち、一つでも支配できれば、相手の全てを支配するのは簡単。 他人よりも味覚が繊細だった事が、興味を引き立てたのだろう。香辛料や食材の旨味に自分が支配される瞬間も心地良かった。
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