毒物

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大人として扱われる年齢になり、俺は街に飲食店を開いた。バーレンの協力もあったが、自身で根回しもしていた。 定食を基本にしつつ、持ち帰り用に菓子類も作る。 ただの町民相手には程の良い定食屋だったが、貴族や金持ち相手には、依存性の高い香味料を使った菓子を売りつけていった。 彼女は貴族育ちのお嬢様なのに、店で給仕をしてくれた。それをする為に親から勘当されたとの事で、同棲も始める。 既成事実を作りたかった訳ではないが、彼女の腹が膨らみ始めた。 父になると意識して初めて、彼女の事を真剣に考えた。 彼女は両親を気にしていた。本当は祝福して欲しいのだろう。 地味に店に嫌がらせもしており黙らせたいとも思っていたので、表面上だけでも彼女の望みを叶えてやる事にした。 彼女の実家に自分で作った菓子を持って挨拶に行く。普通に行っても入れてもらえないので、別の菓子で眠らせて入り込む。 彼女の父は汚物を見る目で俺を見た。
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