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「復讐、したいと思わないかい?非民という肩書きで同じ人間を貶めていたくせに、今やそんな存在がいたことすら忘れている奴らに」
当初は右手の甲の焼け跡を訝しがられた。非民の生き残りと思われ、差別される事もあった。
それも今やない。
あれほど蔑まれ、制限された生活を強要されていたのに、俺たちの事はなかった事にされている。
「そう、だな。でも、どうやって?」
「同じように毒を使うのさ。君の店の商品に仕込めば良い。出来るだけ多くばら撒くなら、新商品の試食として配るのもいいんじゃないかな?」
俺が思わず笑えば、垂れ目も愉快げに笑う。
「そうしよう。まずは新商品を作ってくるよ」
新商品はもうできていた。
甘い豆をすり潰した餡をパイ生地で挟み、別の餡で全体を包んで花の模様を模ったお菓子。
子どもが産まれたら売り出そうとしていた物だ。
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