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ここまで言っても垂れ目は気付かない。
胸を抑えて血を吐き出して、初めて垂れ目は試食に既に毒が盛られていたと気付いた。
「ああ、安心してくれ。あんたの注文通り即死はしない。足掻く姿が良いんだもんな」
床に倒れた垂れ目の側にしゃがみ、彼を見下す。
「ま、俺にはこれの何が良いのかさっぱりだけど。殺すよりもさ、支配したいんだよ。俺を支配してきた奴らがさ、俺の思い通りに踊らされてるって思ったら、ワクワクするだろう?なぁ?」
垂れ目の頭を持ち上げる。
垂れ目は痛みと苦しみで、ヒューヒューとした息を漏らし、涙目である。
その垂れ目が隠していたナイフを取り出す。
俺はそのナイフを受け止めた。
その刃先が自分ではなく、垂れ目自身の喉を狙っていたから。
「あんたさぁ、苦しんで、もがいて、それでも生きようとする姿が好きなんだろ?何死のうとしてんだよ!足掻けよ!足掻いて足掻いて、苦しめよ!」
ナイフを動かしたのが最後の力だったらしい。
垂れ目が憎しみのこもったギラギラした目で睨みつけてくる。
「ああ、何も言わなくてもわかるよ。俺を殺したいんだろう。あの時の気持ちやっとわかってくれたかな?俺が最も報復してやりたかったのはあんただよ。あとのひと時を存分に楽しんでくれ」
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