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井戸から水を汲み、瓶まで運ぶ為の桶に入れる。
兵の目を盗んで空腹しのぎに水を飲もうとして、慌てて吐き出した。
「溢してんじゃねぇ!」
兵に気付かれ迫ってくる。
だが、それどころじゃない。
「この水、苦いです」
報告する様に伝えれば、兵の表情が固まった。
それが、悪戯がバレた時の弟の表情と重なって、何か酷い事が起こるのだと察した。
だけど、それがこれ程だとは思いもしなかった。
横に立ち並ぶ家から悲鳴が上がる。
「助けて!娘が血をっ……」
そう叫んで現れた女が胸を抑えたかと思うと、大量の血を吐き出して倒れ、動かなくなる。
それを皮切りに家々から悲鳴が上がり、人が逃げる様に飛び出して数分も立たず倒れていく。
地面が倒れた人々の吐き出した血で染まっていく。
俺の家からも血塗れの弟を抱えて父が飛び出してきて、
「……ピーターっ……」
と、俺の名前を呼んでから血を吐き出して倒れた。
「スッゲェ!あれだけで、こんな威力あんのか」
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