婚約破棄だそうで

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 「いえ、そんな。謝らせますけれど、許してくれないなら、ねぇ」  おばさま、本音が出まくってますよ。  「そうですか。謝罪もせず、ましてやエミリオ君本人も連れて来ず、謝るから許せ、と。爵位が上だからと言って、随分酷い言い分でございますね」  あー、お母様。本当に怒ってるわぁ。  「まぁあああ。いくら領地が隣同士でお付き合いが長いからって、伯爵家が侯爵家に対して失礼ですわよ!」  おばさま。爵位が上だからって、それ言う? 言っちゃう?  「成る程。其方の考えは、よく分かりました。エミリオが婚約破棄をして来たわけだし、縁を切っても何の問題も無いという事で宜しいな?」  お父様が、最終通告をした。これで、ドゥール侯爵家は、我が家からの持参金という名の臨時収入を絶たれたなぁ。しかもお父様、質問をしているようで、その実、二度と関わらないから、お前達も関わるなよ! ってやつだ……。  「構いませんことよ! これよりドゥール家はバントレー家と一切の関わりを断ちますわ!」  あー。おばさま、売り言葉に買い言葉で発言しちゃって。冷静さを失ったらお終いよ? おじさまの顔色を見た方が宜しいと思いますよ?  「では、直ぐにお帰りを」  お父様、言質を取ったとばかりに、即追い出しましたわ……。あーあ。ドゥール侯爵家、借金をどう返すんだろう? 私が嫁いで、その持参金で借金を返すつもりだったんでしょ? その借金も、おばさまの着道楽のせい、ですよね? どこからかお金をまた借りるのかしら。まぁ、もう関係ないけど。後日の支払いとやらで、借用書ばかりみたいだ、と聞いてるし……。頑張って返済して下さいねぇー。
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