婚約破棄だそうで

5/10
675人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
 自室で、ソファーに座りボンヤリと机を見る。そして、ハッと思い出した。  「そうよ! キリルからの手紙だわ」  キリル。フレーティア王国・バードランド子爵の子息で、私とは又従兄弟にあたる。私の母とキリルの母が従姉妹で、幼い頃は2年に1度は会っていた。フレーティア王国とノーディー王国の距離が遠いので、2年に1度という回数は多い方なのよね。そのキリルからの手紙に、女好きの公爵様と、大切な仕事仲間が結婚した、と書いてなかったかしら。  私は急ぎ手紙を探すと、キリルからの手紙に、きちんと書いてあった。  女好きのテーランス公爵。その妻となったアルシュナー侯爵令嬢について。結婚式についても書いてあったわね。えーと確か、アルシュナー侯爵令嬢は、別にテーランス公爵を好きでもなんでもないから、他の女性が結婚式に乗り込んで来ても何とも思ってなかった、ね。  まぁそうよね。好きでもないなら、なんとも思わないわよね。寧ろ、感心してしまうわね。それだけモテるのね、と。解るわぁ。私、このアルシュナー侯爵令嬢様とお友達になれそうな気がするわ!  あ、そうだ。キリルに、私、婚約破棄されたって書いておきましょ。……ん? そういえば、あのおバカさん……エミリオ様が、婚約破棄が流行中って仰っていたわよね? もしかして、私以外にも婚約破棄をされたご令嬢方が居るって事?  「……そういえば、夜会の招待状が来ていたわね。えーと、どなたの夜会に出れば、現状を把握出来るかしら?」  エミリオ様の話が本当なのか、早速調査したくなって来た私は、届いている夜会の招待状を吟味し始めた。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!