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私の発言に、おじさまとおばさまが顔を真っ青にする。まさか、王命による結婚なんて、斜陽貴族に話が来るわけが無い。とでも言いたそうだ。
「ね、ねぇルイーザちゃん」
「なんでしょう、おばさま」
それこそ小さい頃からの付き合いだ。おばさまから“ちゃん”付されても文句は無い。
「あなたとは、小さな頃からの付き合いよ。どれだけ可愛がって来たか知っているでしょう?」
つまり、可愛がってやったんだから、私に折れろ、と?
「もちろん、おばさまには良くして頂きましたわ。ありがとうございました。覚えておきます」
だから、私に折れろ、と言う前に、エミリオ様を連れて来て謝罪させてよ。言い出したのは、アンタの息子!
「先程から黙って聞いていれば、ドゥール侯。我がバントレー家を馬鹿になさっておいでか? 件のご子息はいらしていない。エミリオが進んで謝罪すべき所を、ルイーザが悪い、と言っているように聞こえますが」
おじさまとおばさまの謝罪なんだか、有耶無耶にしたいだけなんだかの発言に、お父様が怒ってるわぁ。しかも、婚約中は“エミリオ君”だったのが呼び捨てだし。
「い、いやいや。ルイーザ嬢が悪いなどと。ただ、エミリオが謝るにしても、ルイーザ嬢が受け入れてくれなければ、謝るのも辛かろう、と」
おじさまが慌てるけど、絶対に謝罪を受け入れろ。って言ってるわけでしょ? 受け入れないなら、謝らせないってこと? 随分失礼ね。
「それは、謝って頂いてから、娘が判断することですわ。私共も昔から知っているエミリオ君の事ですから、よしなに計らいたいですが、全ては謝罪からじゃないのでしょうか。それも無しに、許せ、とは傲慢ですわね」
あ。お母様、今回の件、実はお父様以上に怒ってらっしゃるのね。笑顔で釘を刺すお母様を久々に見ました。
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