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自分もそうなのだろうか……?
「お疲れさまでしたー」
動揺などおくびにも出さず、世奈はスタイリングを終えたばかりの女性に、鏡越しにウインクをする。
「やっぱり、ばっさり切ってよかったですね」
すごく似合ってますよ、とニッコリと笑えば、短くなった毛先に触れながら、女性が照れたように笑った。
気分を変えたいと、背中まで伸びた髪をショートにし、髪色を少し明るめのアッシュグレーにした彼女。左手の薬指から、華奢なデザインのファッションリングが消えていることに気づいた世奈だが、もちろんそれに言及することはない。
古くなったなにかを切り捨てるように、軽やかな足取りで店を後にする彼女を見送って、世奈は息を吐いた。
失恋をすると、一定数の女性は髪を切りたくなるのだろうか。
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